近年、人気が急上昇している近畿大学。
関関同立ではなく、関近同立との声も挙がる程の人気です。
関関同立とは、関西の有名大学である関西学院大学・関西大学・同志社大学・立命館大学を指す言葉ですが、近畿大学がこの四校に食い込むまでになったと評価されている、という意味です。
この記事では、その近畿大学の中でも評判の理工学部機械工学科が今熱い理由に迫ります。
科学技術の大半を占める機械工学の技術は、非常に広い分野で活用されています。
機械工学科は人と機械・環境が共生できる社会を作ることを目的としており、次世代の科学技術を牽引していく人材を育んでいます。
建設や工作機械などの産業機械はもちろんのこと、車や電車、飛行機などの輸送機械、他にもパソコンなどのIT機器や福祉の現場でも利用されるなど、その活躍の場は留まる事を知りません。
どの分野においても、機械工学は基盤とも呼べる学問であるといえます。
では、そんな人々の生活の中核を担うともいえるその技術を学ぶ機械工学科とは、一体どんな学科なのでしょうか。
機械工学科は、機械工学の基幹6分野といわれる材料力学・機械力学・熱力学・流体力学・材料工学・制御工学を、講義だけでなく演習や実験を通して学んでいきます。
その他にも3次元CADをはじめとした、設計や生産に関する知識を深く育んでいます。
かなり専門性の高い学科ではありますが、進路の幅は広く様々な就職先があるのも魅力です。
機械工学科では2つのコースを設けており、学びたい分野に応じて選択することが可能です。
それぞれのコースの特徴とどのようなカリキュラムが組まれているか、チェックしてみましょう。
その名のとおり、機械工学の基礎を身につけるコースです。
自然科学や情報技術などの工学的な基礎知識を学んだ上で、最先端の機械工学に必要な専門知識を習得するコースです。
JABEE認定(詳しくは後述します)のコースでもあり、資格取得の面でも有利となります。
機械工学の基幹6分野の中でも主として流体力学・熱力学・材料力学・機械力学を学び、他にも設計・加工・制御・電気電子回路・自動車工学などの幅広いジャンルを、実験を通じて学習していきます。
特に設計製図能力の取得に注力しており、機械工学を利用した設計能力と手書きから3D-CADによる製図まで、一貫したカリキュラムで技術を身につけていきます。
カリキュラム内容
機械や建築物の強度設計に欠かせない重要な学問です。
材料力学の基礎を学び、強度を設計するにあたり何が必要なのかを理解します。
流れを力学的に取り扱うために必要な基礎知識を学びます。
機械技術者にとって必須の基礎的原理です。
実際に演習や実験を行い、実体験に基づいた結果を取り入れながら知識を向上させます。
自動車の走行力学と性能について、理解を深めます。
主として機能を司るシャシ技術を中心に、各種装置の構造及び作動原理を学びます。
機械工学を基盤とし、メカトロニクス技術を身につけるコースです。
機械の最先端ともいえる分野で、情報・エレクトロニクスなどの広い素養を持つ技術者を育成しています。
機械工学の基本を身につけた後は、メカトロニクス・宇宙センシング工学や生体医工学・ロボット工学などに派生していきます。
最先端の科学技術者として対応していける能力を育んでいます。
カリキュラム内容
a.センシング工学
センシング、という言葉だと聞きなれないかもしれませんが、要はセンサーを学ぶカリキュラムになります。
光や温度、磁気に圧力と、センサーといってもその種類は様々で、その構成及び動作原理を学んでいきます。
b.ロボット工学
ロボット工学の基礎となる座標変換や順運動学、逆運動学の演算手法などを学びます。
c.メカトロニクス
機械工学の総合ともいえるカリキュラムです。
自動車の自動運転技術やロボットに用いられるメカトロニクス技術に関して、センサーやアクチュエーターなどを統合し制御するための工学です。
機械工学コース、知能機械システムコースのどちらを選んでも、講義・演習・実験が機能的に結びつくように展開され、専門知識・能力の確実な習得を促しています。
また、他の大学では滅多に例のない3D-CADを700台導入しており、2~4年次には1人1台行き渡るよう確保されています。
どちらも製造業に進路を取りやすいコースだといえます。
機械工学科は、国際的に認定された技術者教育認定プログラムであるJABEEに、2005年度・2010年度・2016年度と3度も認定を受けています。
(一般的に認定期間は5年ですが、2010年度と2016年度の申請では認定期間最長となる6年の取得に成功しています)
JABEE認定のメリットは大きく分けて2つあります。
①欧米主要国の認定プログラム修了者と同等に扱われるため、グローバルに通用する技術者として名乗れること
昨今、ものづくりの現場は日本だけでなく、技術者は米国や欧州・中国など様々な国々で活躍できる必要があります。
このJABEEは国際的に定められた基準に則って認定されるため、いわば世界で通用する資格のようなものです。
②国家資格である技術士の第一次試験が免除となること
JABEEによる一定の要件を満たしているため、技術士の資格受験の際にその一部が免除となります。
このJABEEという制度、資格取得にも一役買ってくれるのは嬉しいですね。
機械工学科では、上記した技術士の資格以外にも所定の単位修得で取得できる資格が下記のようにいくつもあります。
・高等学校教諭一種免許状(数学・理科・工業)
・中学校教諭一種免許状(数学・理科・技術)
・図書館司書
・技術士補(JABEEコースのみ)
・ITパスポート(理工学部共通)
・基本情報技術者(理工学部共通)
また、カリキュラム内容に関連性が高く、取得率が高い資格は次の通りです。
・3次元CADトレーサー認定
・Fundamentals of Engineering
・機械設計技術者
・公害防止管理者、公害防止主任管理者
・危険物取扱者など他多数
これだけ見ても、多種多様な進路を選ぶことができることがわかります。
では、様々な資格の習得が可能な機械工学科の卒業生に人気の職種とは、一体なんでしょうか?
機械工学を修学した学生は、様々な分野から求められ評価されています。
卒業生の約4割は製造業に進路をとり、その力を発揮しています。
自動車や電気・精密機器のメーカー、医療や福祉機器メーカーの他にも産業機械や先端医療機器と、活躍の場はどんどんと広がっています。
では、製造業以外の職種はというと第2位が大学院への進学。
更なるプロフェッショナルになるべく進路を大学院にする学生が多いことからも、学びの場として良質であることを感じますね。
第3位はサービス業となり、日立ビルシステムや三菱電気エンジニアリングなど一流企業への進路を決めています。
次いで建設業や運輸業と続き、情報通信業や金融に進む方もいるようです。
単位修得により取得できる資格を用いて教諭になることも可能など、多種多様な職種の選択肢があるのは機械工学科の強みなのではないでしょうか。
機械工学は日本の産業を牽引する学問であり、ものづくり大国と呼ばれる日本においてこれほど未来のある学問は多くないでしょう。
近畿大学理工学部機械工学科が、この機械工学を学ぶ場として注目を浴びている理由がわかった気がします。