近年人気急上昇中の近畿大学。
関関同立ではなく、関近同立との声も挙がる程です。
関関同立とは、関西の有名大学である関西学院大学・関西大学・同志社大学・立命館大学を指す言葉ですが、近畿大学がこの四校に食い込むまでになったと評価されている、という意味です。
この記事では、その近畿大学の中でも最先端の技術を生み出している、といっても過言ではない理工学部応用化学科に絞ってその魅力に迫ります。
『未来を切り開く化学技術者をめざして』を学科のテーマとして掲げており、目に見えないミクロの世界から温暖化など地球規模の問題まで、様々な分野で活躍する化学者を育てています。
現代社会における問題の多くは化学によって解決され、私たちの暮らしは日々より良いものへと変化しています。
応用化学は、物理化学や無機化学、有機化学、高分子化学はもとより、医学や薬学、食品化学など様々な分野にその活躍できる場を広げています。
また、応用化学科では、『人間力』の養成や『実学』に特化したプログラムが組まれています。
そもそも、応用化学科の始まりは1938年にまで遡り、80年を超える伝統があります。
現在までには7,000人を超える卒業生がおり、その中には企業創設者も少なくありません。
新たな技術を生み出すことは雇用の創出にも繋がり、産業の発展にも大きく貢献しています。
・どんなカリキュラムなのか?
1年次の基礎的な化学実験はもちろんのこと、4年次における専門性の高い卒業研究まで、常に実験を通して化学現象の理解を確実なものにしていくことをカリキュラムの大きな特色に掲げています。
ナノテクノロジーやバイオテクノロジーなど合成・材料生成技術の先端に関わる学習を行い、社会の技術革新に貢献できる技術者を育んでいます。
その中でも、数人のグループで実験をデザインして課題解決を行う学習は、学生自身の自立・自発的学習を誘導し、先に掲げた人間力の養成にも繋がり、実験設備の充実と併せて特に力を入れている項目となっています。
また、応用化学科のカリキュラムの特徴は、卒業に要する単位のうち実に90%が必修科目(ただし、選択必修科目を含む)であることです。
実験科目と専門科目を連携させた即戦力対応型のカリキュラムにより育まれた応用化学科の卒業生は、国家資格の技術士一次試験が免除されるJABEE認定となることから、全教員が必要な知識・技術を徹底して教育しています。
①環境工学
環境の汚染についてその種類や原因の分析方法を学び、環境問題の解決・対処を意識したカリキュラムです。
研究者として、技術者としての基本知識も身に付きます。
②バイオテクノロジー
生体を構成する物質やその働きについて学ぶカリキュラム。
細胞中の物質変換を担う酵素を通して、DNAやタンパク質ができる過程を応用した化学の技術について学習します。
③応用化学セミナー
最先端の科学技術や、研究・開発の現場、企業のものづくりの現場を学んでいきます。
各回、学内外から、様々な著名なゲスト(企業の社長や研究所の所長など)を招いて、実際の現場に基づいた講義をしていただいています。
近畿大学の応用化学科では日々、様々な研究が行われています。
その中から一部を抜粋して紹介致します。
研究対象は全ての元素。
その研究領域は非常に多岐に渡り、金属ナノ粒子を用いた高性能触媒や新たな骨充填材などの生体関連分野の他、新規可視光応答性光触媒、機能性金属錯体の合成と物性評価、光機能をもったセラミックス薄膜、陽極酸化皮膜を用いた太陽電池、生体分子のセンサー素子などの開発を主としています。
有機化学とは炭素化合物を扱う分野のことを指し、応用化学科では様々な機能を持つ有機化合物が日々合成されています。
例を挙げると、温度変化によって色味が変わる物質の生成や、電気により発光する素材、ポリマーナノチューブといった材料を機能化する新たな手法の開拓などを行っています。
化合物の構造や反応、その性質などを物理学的な方法で研究をしており、コンピュータを使用した反応機構の予測なども行っています。
他にも、適切に組み合わされた半導体材料を用いて光を電気エネルギーへと変換すること、超イオン伝導体を用いたナノ構造の作製、貴金属担持光触媒を用いた新しい有機合成ルートの開発などを行なっています。
数多くの原子が結合してできる巨大分子のことを高分子と言います。
応用化学科での代表的な研究例は、環境に優しい有機合成法の開発を目指し、複数の性質を併せ持つ新しい熱応答性高分子を合成しています。
また、今までではただ廃棄されていただけの植物資源から得られる天然の化合物を研究し、それらを適切に配置することで高分子とし、透明かつ耐熱性に優れた材料を合成しています。
生体に良い影響を与える生理物質の合成や、生体中で作用している物質・作用を利用して機能性材料を創製しています。
例えば、香り成分の体内動態について分子生物学レベルで研究を行っており、香粧品・医薬品原料等への応用が可能な物質を探索しています。
また、生体を構成する基本分子であるアミノ酸から生成するペプチドに関する研究も行なっています
応用化学科では、所定の単位修得だけで取得できる資格が4つあります
およそ90%が必修単位だからこそではありますが、卒業するまでに全員が4つの資格を取得することができます。
取得できる資格は下記の通りです。
・毒物劇物取扱責任者
・高等学校教諭一種免許状(理科)
・中学校教諭一種免許状(理科)
・図書館司書
また、理工学部共通で取得できる資格は下記の通りです。
・ITパスポート
・基本情報技術者
・応用化学科に関連が深い資格や検定
日々のカリキュラムに関係し、取得しやすいと考えられる資格は非常に多く、進路の選択肢の幅が広がります。
一部抜粋して紹介します。
・危険物取扱者
一定数量以上の危険物を貯蔵あるいは取り扱う場合に必要となる資格です。
工場やガソリンスタンドなどがこれに当たります。
応用化学の分野では重要視される資格のひとつです。
・公害防止管理者
大気汚染や水質汚濁などを防止するために必要な技術を管理する資格です。
他にも騒音や公道の振動などの問題も取り扱います。
・消防設備士
一定数以上の人数が出入りをする建物では、その規模や収容人数によって火災報知機や消化器、スプリンクラーなどをとりつけることが義務付けられています。
それらを取り扱うのに必要となる資格です。
・放射線取扱主任者
放射線が発生する装置を使用する際に必要となる資格です。
放射線障害防止法に基づき、安全管理及び法令上遵守の責を担います。
主として、製造業に進む方が多いです。
専門的な知識を備えた卒業生は様々な分野で活躍しています。
他にも学校の先生や公務員など、選択肢は多岐に渡ります。
また、およそ半数の卒業生がそのまま大学院に進学しているのも特徴です。
昨今、非常に人気になってきた近畿大学。
その中でも時代の最先端ともいえる応用化学について、ご理解いただけたでしょうか。
新しい何かを生み出すことは、とてもやりがいのあることです。
10年20年先の暮らしはもしかして、あなたが造るのかもしれませんね。