多様な働き方がある現在、3人に1人以上が非正規の職員や従業員として働いています。
そのなかには、実家を離れ、独立して生計を立てている人も珍しくありません。
今回は非正規雇用のうち契約社員を例に、賃貸物件の契約にあたり事前に知っておくべき注意点についてご紹介します。
賃貸物件の入居を決める前に知っておきたい契約社員の特徴
正社員が無期雇用であるのに対して、契約社員は有期雇用です。
雇用契約の期間は1日の場合もあれば、1か月や3か月、1年の場合もあります。
上限は医師や歯科医師など一部の職種を除き3年と定められており、企業と本人の合意の下、契約は更新が可能です。
2013(平成25)年には労働契約法が改正され、有期雇用契約の期間が通算で5年を超えると、本人の申し出によって無期契約に変更できるようになりました。
これにより雇止めの不安はなくなりますが、正社員に転換されるわけではなく、有期契約社員から無期契約社員になるという点には注意が必要です。
2020(令和2)年からは同一労働同一賃金が施行され、2021年には中小企業にも適用されるようになりました。
今後、多くの企業で、契約社員にかかわる賃金制度の見直しや就業規則・賃金規定の改定がおこなわれることが予想されます。
契約社員が賃貸物件に入居するなら知っておくべき注意点
入居審査でチェックされるポイントを知ろう
無期転換が可能になっても、契約社員のほとんどは有期雇用でしょう。
しかしながら、有期雇用が理由で賃貸物件の契約ができないことはありません。
賃貸物件の入居審査基準は法律などの定めはなく、不動産会社によりますが、大概は収入面だけでなく連帯保証人や人物像で総合的に判断されます。
ただし、毎月の家賃の支払い能力を確認するため、所得証明書や源泉徴収票などの収入証明書のほかに、雇用契約書の提示を求められることもあります。
また、不動産会社としては、集合住宅での住人トラブルは避けたいので、申込者の身なりや言動はチェックされていると考えておきましょう。
収入に見合った家賃を把握しておこう
同一賃金同一労働が導入されても、賃金決定の基準は企業に委ねられています。
職務内容によっては待遇が変わらない可能性もあり、無期契約転換の権利を有するまでに時間を要する人にとっては、改善点があまり感じられないかもしれません。
どのような状況であっても安心して生活をするためには、収入に見合った家賃の物件を探すことです。
契約社員の場合、月給制以外に日給や時給で働いている人も多いので、「1年に支払う家賃は年収の1/3以内」を基準にすると良いでしょう。
年収が240万円であれば、1/3の80万円を月額換算します。
この場合では、約6万5千円を家賃の上限として考えます。