賃貸の契約に違反してしまう?リスクの高い「転貸」とは?
賃貸物件に住んでいるものの、長期間の出張や旅行などで家を空けるため、その間誰かに自宅を使ってもらいたいと考える方もいらっしゃるでしょう。
賃貸物件について、他人に又貸しすることを「転貸」といいますが、1日でも転貸になるのか、どんなリスクがあるのか、広くは知られていません。
そこで今回は、賃貸にお住まいの方に向けて、転貸とそのリスクについてご紹介します。
賃貸契約前に知っておきたい転貸とその要件とは
「転貸借(てんたいしゃく)」とは、転貸、又貸しともよばれ、一般に借主が貸主から借りたものを第三者に貸してしまうことを指します。
また、貸主に無断で転貸借をおこなうことを、無断転貸借とよびます。
たとえば、1年だけ転勤することになった借主が、転勤が終わり帰ってきたときに同じ物件に住み続けられるよう、友人に1年間住んでもらうことにしたというケースは転貸にあたるのです。
さらに貸主に許可をとらなかった場合は、無断転貸となります。
転貸は賃貸契約違反?転貸によるリスク
一般的な個人間での契約について規定をとりきめる民法では、無断転貸を禁止しており、無断転貸した場合は信頼関係を壊されたとみなし、貸主からの契約の解除が可能とされています。
ただし賃貸借契約では、契約が長期間にわたるという特徴をもつため、借主の転貸に以下のような事情が認められる場合、貸主から一方的に契約解除することはできないとされています。
●借主の親族やその他特殊な関係にある人物への転貸であり、信頼関係の破壊に当たらない事情がある場合
注意したいのは、上記のような例は稀なことで、賃貸借契約書によって無断転貸が禁止されている、貸主とのトラブルによって契約に不具合が生じるなどの事例がほとんどである点です。
貸主とのトラブルになった場合は裁判で争うことになるほか、賃貸借契約書に禁止が規定されている場合には契約違反となり、契約の解除と強制退去を命じられても反論できません。
特に、民家に宿泊客を招く民泊などの営利目的の事業では、判例においても借主の事情が認められることは少なく、無断転貸とみなされ契約の解除につながります。
このように、転貸は貸主とのトラブルや強制退去につながる危険性の高い行為であるため、注意が必要です。
どうしても転貸する必要がある場合には、不動産会社や貸主に直接確認をとり、許可をとったうえでおこなうことをおすすめします。